日本流通自主管理協会(AACD)の「協会基準判定士」の役割や、現在のリユース市場の課題感について

2024.02.15

一般社団法人日本流通自主管理協会(AACD)の事務局スタッフ姉川様に取材を実施。同協会の概要や、「協会基準判定士」の役割、現在のリユース市場の課題感についてお話を伺いました!

Q. 一般社団法人日本流通自主管理協会(AACD)の概要について教えてください

一般社団法人日本流通自主管理協会(AACD)とは、会員企業間相互が協力し、並行輸入品市場での、「偽造品」や「不正商品」「コピー品」の流通防止と排除を目指して、1998年4月に発足した民間団体です。※並行輸入品とは、正規代理店ルートとは別のルートで輸入した商品のことです。

対象は、ファッション系のブランド品(バック、時計、ジュエリー、アパレル)です。現在、会員企業はブランド品買取店や質屋などの小売事業者や、ブランド物のバッグやアクセサリーなどの専門知識を持つ卸売事業者など約140社にのぼります。 

AACDは、会員企業が不正商品を取り扱わないための調査・研究活動を軸としています。そのほか、消費者が安心してブランド品を購入できる健全な市場を実現するための地道な活動を行っています。例えば、2005年には消費者トラブルを解消するコールセンターとして「AACD消費者Q&Aセンター」の活動を開始。2010年には、法務省認証ADR「ブランド110番」の活動を開始しています。

Q. 「協会基準判定士」とはどのような内容でしょうか

AACDでは、会員企業の社員が並行輸入ブランド品、中古ブランド品を取り扱うために必要な知識を習得することを目的に、「協会基準判定士」の研修、及び資格認定を行っています。

ブランド品について独自の取扱い基準(AACD基準)を策定し、協会会員が取扱い可能な商品を「基準内商品」、取り扱ってはならない商品を「基準外商品」と定義。当協会の判断基準、つまり、本物か偽物かといういわゆる真贋についての研修を行います。さらに、ブランド品にそもそもどのような商流があるのかや、関連する法令、カスタマー対応、最近ではECサイトへの表記方法など、総合的にブランド品を取り扱う際に必要な基礎知識を学べるようになっています。

例えば、景品表示法や二重価格については販売や販促活動をする上で必ず必要になる知識だといいます。そのため、会員企業では「人材育成に活用する企業様も多い」とのことです。さらに「協会基準判定士の資格取得がキャリアステップに組み込まれている事例もある」ということです。

※資格の詳細についてはこちらにまとめています。

Q. 「協会基準判定士」は実務でどのように役立つのでしょうか

こうした知識がある人とない人では、お客様へのアプローチ方法が変わると思っています。


例えば、例えば、高級ブランドのギャランティ(保証書)表記の特徴などの知識があると、お客様にお品物を購入した場所などのご質問し、整合性がとれない場合、盗難品である可能性があると気づくことができるわけです。盗難品を買取ってしまうと企業としては様々なリスクを負いますので、未然に防ぐことができたら企業にとって大きな利益となります。

Q. 現在のリユース市場での課題や従事する人へのメッセージをお願いします

現在まで、画像での判定技術、AI真贋技術なども発展してきているのですが、同時に、偽造品の流通のスピードも速くなっています。偽造品そのものの精度は、一段と巧妙化する傾向が顕著です。偽造品が発生するブランドも、従来のラグジュアリーブランドに限らず、カジュアル、スポーツ、コラボレーションブランドなど際限なく広がりを見せています。

また、リユース市場も広がりを見せており、CtoC市場での問題の拡大、SNSでの不正商品への誘導など、問題が一層複雑化していると考えています。

ブランド品の買取を行っている方々は、日々研鑽していても、最新商品のコピー品などは情報も多くないため、なかなか見分けられないことも多いと思います。そのため、怪しいなという感覚や経験値を磨くとともに、現場ですぐに買うのではなく、一旦お預かりをするというオペレーションに変えていくことも必要です。

一緒に消費者の皆様が安心して買い物ができる、確かなブランド品市場を形成していきましょう。